Notebook

ヴィム・ヴェンダース監督の「PERFECT DAYS」を観てきました。上映中ずっと、しずかに涙が流れていました。
年始早々すばらしい映画を観られてほんとうにうれしい。今年もよい作品にたくさん出会う。

#映画
甫木元空監督「はだかのゆめ」を観てきました。
抒情詩のような、長めのミュージックビデオのような、そんな空気をまとった映画でした。ぜんぶで60分ちょっとの長さがちょうどよかった。
たいせつな人を残して死んでしまうことへの恐怖や後悔や、かなしみの感情と、でも一年に一度の会いにくる約束。日本の文化って残された者のためにあるんだなって思った。ゆめでもいいから会いたいよ、と思う人、わたしにもいる。畳む


#映画 #鑑賞記録
須藤蓮監督作品「逆光」を観ました。以下、かんたんな感想です。(いろいろ見当違いなことを言ってるかもしれません)(あらすじ以上、ネタバレ未満)

こんなふうに言うとチープだけど、晃の吉岡への思慕はまちがいなく恋だったのでしょう。三島由紀夫の『反貞女大学』からいくつかの文が引用されていて、「マイノリティ(性的な)であり社会と衝突をする恋愛は、真実の恋愛である(大意)」の部分が、この映画の副題(?)である「傷つけられたい」に結ばれるのかもしれない。
傷つくことでやっと、ほんとうの恋であり愛であると証明できるなんて、とてもさみしいことだけど。でもそういう考え方はわたしが大衆側にいて、少数派を「悲劇的な」存在にしたいだけなのかもしれない。それはとても愚かしいな、ともおもう。
1970年代という時代をわたしは生きていないから、知らなくて、ぜんぶ伝え聞いたことしかわからない。でも現代だから描けた作品なんだろうな、ということはなんとなくわかる。
そしてみーこのうたう、森田童子の「みんな夢でありました」が心地好いこと。耳の奥でずーっと流れてる。畳む


#映画 #鑑賞記録
青山真治監督作品「月の砂漠」を観ました。
以下、感じたことや考えたこと。ネタバレはないとおもいます。

物語の舞台である2000年初頭って、わたしは小学生だった。インターネットが世の中に普及し始めて、わがやにもパソコンがやってきてころだった。わたしもそれではじめてインターネットにさわった。インターネットがイコール世界だった時代。パソコンの蓋を開ければ世界と繋がれることが新鮮でおもしろくて、熱中していたことを憶えている。当時あんなにインターネットにふれていなければ、今もこうしてサイト運営などしていなかったと思う。
IT企業が時代の大波をかぶって崩壊してゆくさまは、諸行無常、といった感じがあった。そして会社と同時に家族も壊れてゆく。家族を繋げていたのは「お金」という名の「安定」で、きれいごとだけじゃきっとやっていけなかった。でも主人公はそれを否定する。「家」はただの建物だと言い、たいせつなのはその中にある家族で、人なのだと、失ったものたちへの思いを募らせていく。
お金を稼いで裕福になる人がいるいっぽうで、それらに食い物にされて貧しくなってしまう人たちがいる。今の世の中もそうで、構造は当時となにも変わらない。お金がすべてとは言えないけれど、お金で解決できることやお金によって維持できるなにかはぜったいに存在していて、その事実があんまり、むなしい。
「月の砂漠」というタイトル通り、遠目からでうつくしいと思っていたものにふれたら、それはただの砂の地だった。ざらざらとした乾いた砂の感触が手に残るよう。畳む


#映画 #鑑賞記録