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ちゅっちゅしてるとらふゆ(書きかけ)/22軸
※ほんとうに書きかけです。
―――
ふいに赤い舌が見えて、かと思ったらくちびるをぺろりと舐められた。生ぬるくてかすかに苦い、唾液の味がした(苦いのは、たばこのせいだとすぐにわかった)。わ。驚いて身を引こうとしたけれどいつのまにか腰を掴まれ、身動きを封じられていた。腰を引き寄せられて、ちゅ、ちゅ、と続け様にくちづけられる。くちびるのすきまからもれる息が熱い。
「ちょっ、こら、一虎くんっ」
「んー?」
一虎くんはオレの声など聞こえていないかのようにあむあむと耳たぶを甘噛みする。耳もとでしゃべられると空気の振動が直に伝って、脳の奥らへんがじんと疼いた。ばか、しゃべるな! いっそう叫びたい気持ちで、でも震えは快感に直接結びつく。意思とは無関係にきもちいい、と感じてしまう従順さがただ酷だった。オレは体をぎゅうっと縮めて、一虎くんにされるがままの玩具に成り果ててしまう。
なにがスイッチになったのかは知らないけれど、一虎くんはすっかり発情してオレの体のあちらこちらを触り、くちびるを額や鼻のあたまや頬に擦りつけてくる。べつにアルコールが入っているわけでもない。酔っているわけじゃない。だのに積極的すぎる一虎くんに、オレは怯んだ。
「かずとらく、ぅんっ」
オレの口をキスで塞ぐ。てのひらが下腹部をさ迷い、やがてパーカーの裾を捲り上げた。腹の上に乗せていたてのひらがすきまから滑りこんできて、腹筋をなぞる。背筋がぞわりと粟立った。
ひ。オレは悲鳴に近い声をあげて、両腕で顔を覆う。
「っ、こ、わいぃ」
一虎くんがいつも漂わせているいい匂いが、熱を帯びてすっかり火照った吐息が、崖っぷちにじりじりと追いつめていくようで怖かった。拒絶するつもりはなかったが、無意識のうちに嫌々と首をふっていた。性急だった一虎くんの動きが止まる。ちふゆ。小さな声で、名前を呼ぶ。オレは腕のすきまからそっと視線を向けた。眉尻を下げて、困ったような表情で、一虎くんはオレを見つめていた。赤く染まった頬が彼をいつもより幼く見せた。
「ご、ごめん、」
身を引いて、床の上にぺたんと座りこむ。普段ではあまり見ないしおらしい姿が、なんだかかわいそうだった。オレは顔を隠していた腕を下ろすと、力なく膝に落ちた一虎くんの手に触れた。
「……こっちこそ、ごめん」
ちょっと、びっくりして。言い訳みたいにオレが言うと、一虎くんは気まずそうに視線を泳がせた。
「オレとすんの、怖い?」
えっ? とオレは問い返した。一虎くんは言葉を探しつつ、続けた。
「オレにさわられんの、やっぱ、気持ち悪ぃ?」
「そっ、そんなこと、ない」
一虎くんの問いかけに首をふる一方で、よろこびが水のように湧き上がってくるのを感じた。かわいい人だ、と思った。オレの表情や挙動のいちいちに反応して不安がる一虎くんが、どうしようもなくかわいかった。そんなふうに思うオレの性癖は歪んでるのかもしれない。すなおに告白したら気味悪く思われて引かれるかも。
心のうちを悟られることに怯えながらも、一虎くんの頬を撫でた。頭を抱くと、遠慮がちに腕が伸びてくる。一虎くんの腕はオレよりも長くてしなやかで、うつくしいそれがオレの首に巻きついて絡まるのは心地好かった。
「オレ、アンタのことがすきですよ」
―――
畳む
※ほんとうに書きかけです。
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ふいに赤い舌が見えて、かと思ったらくちびるをぺろりと舐められた。生ぬるくてかすかに苦い、唾液の味がした(苦いのは、たばこのせいだとすぐにわかった)。わ。驚いて身を引こうとしたけれどいつのまにか腰を掴まれ、身動きを封じられていた。腰を引き寄せられて、ちゅ、ちゅ、と続け様にくちづけられる。くちびるのすきまからもれる息が熱い。
「ちょっ、こら、一虎くんっ」
「んー?」
一虎くんはオレの声など聞こえていないかのようにあむあむと耳たぶを甘噛みする。耳もとでしゃべられると空気の振動が直に伝って、脳の奥らへんがじんと疼いた。ばか、しゃべるな! いっそう叫びたい気持ちで、でも震えは快感に直接結びつく。意思とは無関係にきもちいい、と感じてしまう従順さがただ酷だった。オレは体をぎゅうっと縮めて、一虎くんにされるがままの玩具に成り果ててしまう。
なにがスイッチになったのかは知らないけれど、一虎くんはすっかり発情してオレの体のあちらこちらを触り、くちびるを額や鼻のあたまや頬に擦りつけてくる。べつにアルコールが入っているわけでもない。酔っているわけじゃない。だのに積極的すぎる一虎くんに、オレは怯んだ。
「かずとらく、ぅんっ」
オレの口をキスで塞ぐ。てのひらが下腹部をさ迷い、やがてパーカーの裾を捲り上げた。腹の上に乗せていたてのひらがすきまから滑りこんできて、腹筋をなぞる。背筋がぞわりと粟立った。
ひ。オレは悲鳴に近い声をあげて、両腕で顔を覆う。
「っ、こ、わいぃ」
一虎くんがいつも漂わせているいい匂いが、熱を帯びてすっかり火照った吐息が、崖っぷちにじりじりと追いつめていくようで怖かった。拒絶するつもりはなかったが、無意識のうちに嫌々と首をふっていた。性急だった一虎くんの動きが止まる。ちふゆ。小さな声で、名前を呼ぶ。オレは腕のすきまからそっと視線を向けた。眉尻を下げて、困ったような表情で、一虎くんはオレを見つめていた。赤く染まった頬が彼をいつもより幼く見せた。
「ご、ごめん、」
身を引いて、床の上にぺたんと座りこむ。普段ではあまり見ないしおらしい姿が、なんだかかわいそうだった。オレは顔を隠していた腕を下ろすと、力なく膝に落ちた一虎くんの手に触れた。
「……こっちこそ、ごめん」
ちょっと、びっくりして。言い訳みたいにオレが言うと、一虎くんは気まずそうに視線を泳がせた。
「オレとすんの、怖い?」
えっ? とオレは問い返した。一虎くんは言葉を探しつつ、続けた。
「オレにさわられんの、やっぱ、気持ち悪ぃ?」
「そっ、そんなこと、ない」
一虎くんの問いかけに首をふる一方で、よろこびが水のように湧き上がってくるのを感じた。かわいい人だ、と思った。オレの表情や挙動のいちいちに反応して不安がる一虎くんが、どうしようもなくかわいかった。そんなふうに思うオレの性癖は歪んでるのかもしれない。すなおに告白したら気味悪く思われて引かれるかも。
心のうちを悟られることに怯えながらも、一虎くんの頬を撫でた。頭を抱くと、遠慮がちに腕が伸びてくる。一虎くんの腕はオレよりも長くてしなやかで、うつくしいそれがオレの首に巻きついて絡まるのは心地好かった。
「オレ、アンタのことがすきですよ」
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畳む